近づく鳥インフルエンザ・地球規模の大流行(パンデミック)の脅威に向けて

鳥インフルエンザの脅威

インフルエンザウィルスには、A型、B型、C型の3タイプがあり、B型、C型はヒトのみ感染するが、A型はヒト以外さまざまな動物に感染することが知られている。
A型インフルエンザウィルスで、ある動物から他の動物への感染はまれであり、鳥のインフルエンザウィルスがヒト社会へ入り込んでくることはないと考えられてきた。一方、インフルエンザウィルス自身変異しやすいウィルスでもある。
1997年、香港での鳥インフルエンザ(H5N1)流行時、6人の死亡者を含む18人の患者発生が確認されるにあたり、鳥からヒトへ種を超えた感染が現実のものとなった。
2010年10月現在は、まだ鳥→ヒトの感染報告だけで、ヒト→ヒト感染の報告はないが、変異によってヒト社会で、誰も免疫を持っていない新たなA型インフルエンザウィルスとして、地球規模で大流行する(パンデミック)可能性が危惧されている。

過去におけるパンデミック

20世紀 3度のパンデミックが起きている。1918年のスペイン風邪(H1N1)では、当時の世界人口10億人の中、6億人が感染し、4000万人の死者を出している。
当時と比べ、航空機など交通が発達した現代では、比較にならないスピードで全世界に感染が広がることは、前の新型流行性肺炎(SARS)でも証明されています。

感染力、病原性の高いウィルス

インフルエンザA型のH5N1ウィルスの病原性は高く、感染した鳥はそのほとんどが短時間のうちに死亡する。「高病原性鳥インフルエンザ」とはこのように鳥にとって高い病原性をもつものであり、ヒトへの病原性による基準ではないものの、2008年7月統計での発症385例中、死亡243例と病原性は非常に高く、鳥での感染力を考えれば、変異したときの感染力を想像するのはたやすい。

世界の現状

2008年7月現在、鳥でH5N1の感染が確認された国は15カ国。鳥の間での流行がほとんどであるためコントロールは困難で、ウィルスの駆逐に成功した国は少ない。
我が国は2004年に京都、兵庫、山口、大分。2007年に宮崎、岡山の養鶏場にて感染の出現があったが、完全な押さえ込みに成功しており、鳥→ヒト感染の報告もない。
流行はWHO(世界保健機構)によってサーベイランス(監視)され、パンデミックの危険度は、現在は6段階中3である。

対策

対策には、①感染を封じ込める対策。②ワクチン。③抗インフルエンザ薬の開発などが考えられている。

①.感染の封じ込め

我が国では「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」及び「検疫法」が2008年5月12日に改定され、鳥インフルエンザ(H5N1)に対する入院措置の法的根拠が整備され、発症直後から検疫、入院。感染のおそれのある者に対しての、健康状態報告要請や外出自粛など。まんえん防止対策が拡充した。
感染者隔離の主体は家庭、感染症指定医療機関。
学校、職場の閉鎖は早期、広範囲で実施する必要性がある。また、幼稚園、保育園、老人ホーム、塾、遊園地、ショッピング街など人の集まる所に対しても対策が必要である。

②.ワクチン

現在最も効果的と考えられている。
まだ変異した本当の感染ウィルスが出ていない。ワクチン製造から供給まで1年間の時間が必要であるので、我が国では、その間の基礎的な免疫をつけることを目的に既存のH5N1株を用いたプレパンデミックワクチンが開発され、2008年12月に大規模プレパンデミックワクチン臨床試験がおこなわれました。

③.抗インフルエンザ薬

精神・神経障害との因果関係ははっきりしていないものの、タミフルは有効とされ、現在は各国ともにタミフルが中心に備蓄されている。しかし、ベトナムの患者でタミフルに耐性を示すH5N1株が見つかり、今後の抗インフルエンザ薬の備蓄政策に影響を与える可能性もある。

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